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取材・文 瀬津由紀子
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インターネットを通して知り合った、台湾在住の日本人茶商・兼子洋行さん。
いつも送られてくるメールの詳しい解説や細やかなデータに、彼のお茶に対する熱意が伝わってきます。一度お目にかかってお茶指南を受けたいと思い立ち、速攻でスケジュールを組みました。幸いなことに、翻訳スタッフとしてアルバイトに来ているアッコが、「ゼッタイ行きたい!」と乗り気になってくれて(さすがにいきなり一人で行くのはちょっと躊躇したので)、それに私の友人が便乗し、20代・30代・40代が一人ずつという3人娘(?)のツアーが決定したのでした。 |
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台湾に着くやいなや、花蓮に向かう飛行機に乗り換えるため台北市内の松山空港に向かいます。時間が3時間ほどあったので、途中で台北市内で食事でも……などと考えていたのですが甘かった!なにせ(あたりまえですが)全然言葉が通じないので、松山空港に向かうバスに乗るのがやっと。それにしても、どうにかなるものです。
兼子さんの住む花蓮市は、台北から飛行機で45分(電車で3時間)台湾の東側にある港町です。 さて、そこに向かう国内線ですが、なんとプロペラ機。50人(ぐらい)乗りの小さな飛行機。おまけに、雨降りの中、飛行機までは傘を渡され、徒歩で向かいます。乗ってみたらみたで、その古いこと!シートはベコベコ、カバーはべろりと剥けてくる有様で、底が抜けないか不安になるほど。こんなとき、外国に来たことを実感します。 上がったなと思ったら、もう下がり、アッという間に花蓮到着。予想に反して、新しくなったばかりの空港は、名産でもある総大理石。小さいながらも凄くキレイで、私たちの地元・佐賀空港は完全に負けていました。 |
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| これが噂のプロペラ機。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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お互い、顔も知らない同士ですが、さすがに女性のグループはほかにいなくて、無事兼子さんとお目もじかないました。メールでのやり取りがあったせいか、最初から違和感なく、遠い親戚のおじさん(失礼!)に久しぶりで会ったような感じでした。
現在は閉めてしまいましたが、うかがった6月当時はまだ喫茶店を経営されていて、私たちが宿泊する中信大飯店の向いにお店がありました。ちょうどホテルの部屋の真下にお店が見えました。 |
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6月当時の喫茶「華」。現在は旅行社になっているそうです。
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「華」の店内は天井が高く、明るい雰囲気の茶店でした。お店に行くと、早速美人で有名な兼子さんの奥様・林金鑾さんにお会いしました。兼子さんが台湾で茶商となったのも、奥様との出会いがあったから。明るく、てきぱきとした奥様は、茶商としても兼子さんの先輩で、ストレートな日本語でお茶に関していろいろとアドバイスしてくださいます。そんな奥様の様子を笑顔で見ている兼子さんに2人の仲の良さが伝わってきて羨ましいほど。今でも2人で台湾国内の茶畑を訪れ、美味しいお茶を探して歩いているとのことです。
台湾茶のコーナーは、店内の一角にあり、さまざまな銘茶を背に、兼子さんがお茶を淹れてくれます。 兼子さんのお茶を淹れるときに使用するのは蓋碗(がいわん)で、たっぷり茶葉を使います。蒸らし時間を短くして、茶碗に注いだ一煎目は捨てて香りを楽しみます。二煎目、三煎目を茶海で一緒にしてから飲むのは初めての体験でした。 その鮮やかな手さばきに見とれていると、 「私が上手なわけではないのですが、やはりお茶の淹れ方が上達するためには、毎日淹れる。これしかありませんよ」 「同じ種類のお茶であっても、生産者、採れた場所、時期によって味が変わってきます。 同じ名人の作ったお茶でも、前年と今年では作柄が違うこともあるんです。だから、今味わっているお茶と同じ味のお茶を来年飲もうと思っても難しいわけですね」 「まるでワインみたいですねえ……」と呟く私に、兼子さんも笑顔で頷いていました。 まさに、一期一会の茶。もう一度口に含んだとき、自然の恵みで採れるお茶の味わいを、更に深く感じました。 |
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茶商・兼子洋行さん。
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うしろに並んでいるのは、台湾の銘茶の数々。兼子さんの話に時間がたつの忘れます。
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素早く、なめらかな手さばきでお茶を淹れるのがなんともかっこいいのです。
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何種類かのお茶の中でも、感動したものの一つに「文山冷凍茶」があります。
冷凍茶は、茶師が製茶の工程の中で揉捻した生茶を試飲するときに、その新鮮な香りや味を楽しむために冷凍保存したのがルーツと言われています。そのため、生産量もきわめて少なく、知る人ぞ知る貴重なお茶と言われています。 凍った塊の茶葉に熱湯をかけると、鮮やかな若緑のお茶になります。その味わいは甘く、香りは爽やかで、フレッシュそのもの。本当の生茶です。次回入荷の際は、すこし分けていただくようお願いしました。(ご興味ある方はメールにてお問い合わせ下さい。予約も承ります。商品はクール便でお届けします。) |
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幻の冷凍茶!ホンモノの生茶です。
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翌日、兼子さんのお店から車で20分のほどの所に、【蓮花茶・白観音】の生産地があると聞き、早速案内していただきました。
到着してみると、そこは町中の一角。大きめの幼稚園の周りを蓮池が取り囲んでいるといった印象。広大な蓮園を想像していた私にとっては意外でした。巫天来氏の経営する『花蓮花』(住所:花蓮県吉安郷中央路三段449之1號)は、蓮の生産地であると同時に観光花園であり、結婚式もできるレストラン(もちろん料理は蓮料理中心)でもあるのです。 蓮にはさまざまな種類がありますが、巫さんの蓮池で見たのは大きく分けて三つ。 蓮花茶になる水蓮と、蓮根を取る蓮、そして、葉の上に人が乗っても沈まないと言う、伝説のオオオニバスもありました。(まだ生育中で小さかったです) その中でも種類、数とも一番多いのが水蓮。さまざま色や形で美しさを誇ります。花が大きいなものではアッコの顔と同じくらいのものまで。その中でも、お茶として上品なのは「白菩薩」と呼ばれる黄金の水蓮のみです。 お店のスタッフが一輪の「白菩薩」をつみ取って、その場でお茶にしてくれました。 フレッシュな蓮花茶は、乾燥したお茶よりもすっきりとして飲みやすく、まさに、ここでしか飲めない味わい。暑さを冷ます効能もあるそうで、何杯でも飲めそうでした。 巫夫人は、花の切り口のゼラチン質をクリームケースに入れた物を見せてくれました。肌に大変良いそうで、壁にはぼろぼろに荒れた肌が見事に美しくなったことを示す、たくさんの写真で飾られてます。確かに奥様の肌もツルツルで、アッコはお茶よりもそちらに夢中の様子。こればかりは持って帰れないのが残念ですが、乾燥したお茶でもその成分はお茶に溶け込むため、飲んでいると肌がキレイになるそうです。また、蓮の茎や梅干しとあえたり、漬け物にすると美味しいとか。 ちょうどお昼時となり、お客様も増えてきたので、親切な巫夫妻に別れを告げ、『花蓮花』を後にしました |
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蓮花茶の生産地、『花蓮花』。観光農園、レストランもあります。
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オンラインショップ・アイシス茶楽館では今回ご紹介した水蓮一輪まるごとの蓮花茶を販売中!ぜひ合わせてご覧ください。
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園内にはさまざまな種類の香水蓮が咲き乱れています。
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アッコの顔と同じぐらい大きな蓮花。
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蓮池の前に置かれた巨大な鯉!は、なんと“鯉のえさ ”自動販売機。あちこちの観光地で見かけます。
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野球場ぐらいの広さの蓮池です。
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蓮花茶の生産者、巫天來さんと“肌つるつる”の奥様
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摘み立ての蓮花茶は、とてもフレッシュ。これも生茶ですネ!
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このぷるぷるとしたゼラチン質を手にスリスリすると、すぐにしっとり!
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『花蓮花』の帰り道、天気は台風で雨模様でしたが、花蓮市内の一部を車で回りました。
花蓮市は人口11万人。台湾東部最大の都市で、日本統治時代に開拓され、戦後完成した港は、台湾3大港の一つともいわれています。戦前は住民の4割が日本人だったとも言われます。現在は港町として、また観光拠点として栄えています。また大理石の産地としても有名です。 市の中心部は、ちょっとした地方都市らしくビルが立ち並び、にぎわいを見せています。そこから少し離れた行政区の近くである兼子さんのお店の周辺は、山を背にして緑が多く、高級な住宅街といった印象。海側に出ればリゾートのような場所もあり、港町ならではの明るさが感じられる都市です。道すがら、台湾に住む喜びや苦労、また言葉の問題、国民性など、兼子さんからさまざまなレクチャーを受けました。 |
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とっても「都会」な、花蓮の中心地。
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花蓮の海。台風が近づいていました。
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その後、店に戻った私たちは、またたくさんのお茶を試飲し、選びに選んで購入し、花蓮を後にしたのでした。
『一期一会の茶〜台湾茶に酔う〜』というタイトルを思いついたものの、実際には花蓮での旅行記になってしまいましたが、それには理由(言い訳?)があります。 なんと、兼子さんが毎月台湾茶に付いてのエッセイを連載することになったのです。 私がとんちんかんな事を書くより、やはり当人に語っていただくのが一番ということで、お茶の話が少なくなってしまいました。 大体私が成り行き任せなのですが……。 お茶好きな方は、兼子さんの連載もゼヒお楽しみ下さい。そして、飲んでみたくなったら迷わずショップアイシスへどうぞ! 次回はまた冬に、“味の良い”冬茶を仕入れに行って参ります!※台湾では香りの春茶に味の冬茶と言われています。 |
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