蒸し暑くなってきたこの季節は、食欲の減る方も多いと思います。体がだるくて、食欲がわかないようなときは、薄味で、よく冷えたおいしい料理を一口含むことで、ほっと食欲が蘇ってきます。手の込んだ料理である必要はありません。冷ややっこでも、きゅうりの酢の物であっても、できるだけ冷たくして、涼しそうなガラスの器に盛ってみます。お膳の上で涼風が吹くように。
 また、この時期はいつもと違う器を楽しむチャンスです。たとえば、お豆腐を出す時に、厚手の陶器の器に盛ったとき、磁器の器に盛ったとき、そしてガラスの器を使った時と、少しずつ味わいが変化します。日本料理の面白いところは、器によって視覚でも料理を味わうところです。これは、他の国の料理とは違う、日本料理独自の世界でしょう。
今月は、お惣菜を中心にした献立をたててみました。中には、きちんと作ると手のかかるものでも、これぐらいまで手が抜けますという料理もあって、少々気恥ずかしいのですが、ぜひ作ってみて下さい。
花 沙羅椿 器 乾隆ガラス花入
:写真 小林 庸浩