秋も深まる十一月。空気が澄んで木々も美しく紅葉し、一年で一番お茶事に適した季節です。仕事柄、毎年この時期は各地で開かれるお茶会に招かれることが多くなりますが、地域ごとにさまざまな趣があって、日本の美に触れることができます。
一言にお茶事といっても、お道具や料理に贅を極めたものから、友人同士で楽しむこだわりのないものまで千差万別です。でも、それぞれにお茶の精神である「一期一会」を大切にしているのは同じです。
主人が元気だった頃は、私たちも主人が取り合わせた道具に私の家庭料理を添えて、親しい友人達と自己流のお茶事を楽しんだものです。主人は“勝手流家元”などと自称して、本当に自由気ままにお茶を楽しんでいました。
そんなときに作った懐石を思い出しながら、今月の献立をあつらえてみました。専門的な知識もなく、また小さな子供がおりましたので、出来る限り手抜きの懐石料理です。
花:山椿
器:『古瀬戸水注』 写真:小林 庸浩