山口伊太郎 100歳の仕事
山口氏画像
西陣織・山口伊太郎  構成・文 高橋伴子
現在、私たちは21世紀に生きている。
確かに、何百年も時を越えて伝えられたものは、優れて秀でたものである。
その不安ともつかぬ思いの前に、悠然と現れた人物がいた。
目次
源氏物語は、一千年余り前、平安時代に紫式部によって綴られた。そして百年後、その物語を基に、藤原隆能(ふじわらのたかよし)によって絵巻物として描かれた。十数巻にまとめられたものの、そのうち現存するものは4巻のみ。数百年の歴史の中で、流転の宿命を余儀なくされ、破れ、傷ついても、その絵巻は残ったのである。優れて秀でたものであったからこそ、成し得た道程といえる。この絵巻物に対峙し、錦織絵巻という独自の作品として挑戦したのは、山口さん70歳のときである。
何ゆえその仕事を織る必要があったのか。それを知るには、山口さん自身の歴史を紐解く必要がある。西陣そのものの歴史ともいうべき山口さんの越し方行く末の物語を、淡々と語り始めた。
母のお腹にいるときから、機の音を聞いていた
18歳で独立。大病を克服、走り続けた若き日
 西陣に機の音が蘇ったのは、昭和24年(1947年)だった
織物に携わるすべての人々が賞賛する仕事を心がけたい、その思いが「源氏物語錦織絵巻」への構想となった。
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