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源氏物語は、一千年余り前、平安時代に紫式部によって綴られた。そして百年後、その物語を基に、藤原隆能(ふじわらのたかよし)によって絵巻物として描かれた。十数巻にまとめられたものの、そのうち現存するものは4巻のみ。数百年の歴史の中で、流転の宿命を余儀なくされ、破れ、傷ついても、その絵巻は残ったのである。優れて秀でたものであったからこそ、成し得た道程といえる。この絵巻物に対峙し、錦織絵巻という独自の作品として挑戦したのは、山口さん70歳のときである。
何ゆえその仕事を織る必要があったのか。それを知るには、山口さん自身の歴史を紐解く必要がある。西陣そのものの歴史ともいうべき山口さんの越し方行く末の物語を、淡々と語り始めた。
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