![]() |
|||||||||||||||
![]() |
|||||||||||||||
|
乾漆造彩色
天平時代(8世紀) 29.0×40.0×7.5 |
|||||||||||||||
![]() |
天部とは、仏像分類の一つの形で、実に雑多な神仏の姿を含んでいます。たとえば、仏教以外の神が神仏習合などによって仏教に取り入れられ「護法神」となったものである、四天王や帝釈天、十二神将、金剛力士らは、神王形といわれる中国式の甲冑を身につけています。一方、自然を神格化した諸々天(吉祥天、弁財天、梵天、日天、月天、技芸天らは、天女形の衣を身にまとっています。さらに、異形の神として、天龍八部衆や迦留羅天、深沙大将などがいます。 この断片は、漆と麻を何層にも重ね合わせた乾漆という素材で作られています。乾漆は湿気に強く、軽いという特徴がありますが、さすがに7.5センチもの厚さを持つこの断片ぐらいになると、重量もかなりあり、もとの天部像もかなり立派なものだったと思われます。また、乾漆の柔らかな素材の特徴を生かして、風に飜る衣の裾の様子も見事に表現されています。 特筆すべきは残存している美しい彩色で、なでしこを思わせる花の模様や所々残る金箔など、今でこそしっとりと落ち着いた色合いとなっているものの、現代でこれだけ色が残っているということは、造られた当時はさぞかし華やかであったろうと想像できます。 伝来としては、奈良の秋篠寺あるいは興福寺と伝えられます。 |
||||||||||||||
|
細部拡大
|
|||||||||||||||
| 奈良の秋篠寺は奈良市の中心地から少し離れた所にあります。駅でいうなら西大寺からバスで秋篠寺前まで。それほど大きい寺ではないのですが、緑に囲まれしっとりとした風情のあるお寺です。 ここで有名なのは芸術や文学の神様と言われる技芸天。少し頭をかたむけたその像は、艶やかささえ感じられる美しさで、頭部のみが天平時代の作とされています。 この断片の裾はもしかしたら技芸天の物かもしれないと、亡き父は申しておりましたが、そう言われても納得できるほど、同じ空気を持っていることは、秋篠寺を訪れたとき私も感じました。 出自がどうであれ、この断片の持つ色彩の美しさ、細工の見事さは、やはり天平時代ならではのものです。父も、この断片を出してくるたびに、「ほら、見てごらん。なあ見事だよなあ、可愛いなあ」と毎回同じように語っていました。 しかしながら、たとえば蓮弁一枚にしても、時代を経るに従って逆に細工は雑になり、形は簡略化されていき、天平時代に造られた物の繊細で見事な美しさは失われていくのです。人間は文明が進むに連れて、段々不器用になっていくのかもしれません。 |
|||||||||||||||
| ※『散華』をお分けします。 ご好評いただいている「散華の花びら」の元本『散華』は、平成元年に出版されましたが、自費出版による贈呈本のため市場では販売しておりません。しかしながら、お問い合わせをいただくこともあり、出版元の(株)瀬津雅陶堂と話し合いの上、限定数ながら頒布ができるようになりました。 ご希望の方はこちらのページをごらんください。 |
|||||||||||||||
| この記事をお友達に紹介する | |||||||||||||||
|
Copyright (c) 2001-2005 i-sys.ne.jp All rights reserved.
|