こころカルタ
text by 結木 茜 Akane Yuuki
ぬすむ
人から盗むの、大好きです。でも、泥棒じゃありません。私が盗むのは技術。仕事だけではありません。生き方、考え方など、自分がいいなっと思ったらすぐに真似してみるのが好きなんです。
「技は盗め」とよく言われますが、私の知り合いで、武術を教えている人が言っていました。「本来、武術の技は教えられるものではない」と。型は教えられるし、学べる。けれど、技は、それをかける人自身が投影されるから、決して同じものは有り得ないんだそうです。スポーツもそうですけれど、確かに人間一人一人の肉体は違うし、その使い方も違うから、同じ事をやっても通用するときと、使えないときがあるわけです。むしろ、技というのは形よりもその人の体感とか、もっと内面的な部分を動かしてこそ生きるもの。だからこそ、教えられるばかりで型にはまるより、先輩の技を盗んで自分のものにしてほしいのだそうです。
それは何も、武術やスポーツだけに限ったことではないはずです。顔が違うのと同じように、人生も、また考え方も一人一人違います。人の一生は、言うなれば、さまざまな色の糸を織り込んで織り上げていくようなもの。他人がきれいな色の糸を持っていたら、それを自分の織物に織り込んでいくことは悪いことではないはず。自分がいいなと思ったことは、積極的に取り入れていきたいものです。
ただ、そのときに大切なのは、感謝を忘れないこと。それと、形ある物は盗んではいけません。
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