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雪の季節に、北海道の小樽の町に住む知人を訪ねたことがあります。30年程前のことでした。とても寒い日でした。札幌から電車で30分ほど海岸線を走る旅は、「銭箱」「朝里」などと聞きなれない風変わりな駅に停まりながらの、楽しい旅でした。その日は良く晴れた日で風が強く、「銭箱」あたりでは線路のすぐそばまで白い波頭がせまり、波間には風花が飛び跳ねていました。狭い坂道をタクシーでむかい、やっと辿り着きました。そのお宅の2階からは、雪の降り積もる港が見下ろせます。軒からは、大きな特大のツララが落ちていて、キラリと光っています。その横には、氷豆腐が北風を受けながらぶつかりあっていて、凍てつく音が聞こえるようでした。豆腐を凍らせて乾燥させた氷豆腐は、凍り豆腐、凍み豆腐、高野豆腐とも呼ばれています。今では工場で作られていますが、ひと昔前までは冬の寒さの厳しい地方の家々で作られ、軒に吊るされた氷豆腐の姿は風物詩の一つにもなっていました。
氷豆腐は以前に比べて食卓にのぼることが少なくなりました。お煮しめなどにするとまことに美味しく、我が家ではよくいただきます。今回、鶏肉に氷豆腐を混ぜ、松風焼きにしています。鶏肉だけで作るよりも口当たりの弾力が増し、風味にも深みが増すように思います。日持ちもしますからおせち料理にもよいでしょう。
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