キッチンから俳句を。[冬の食卓] 高木いずみ 冬イメージ写真
季節の移ろいを取り込みながら、旬の料理を楽しみます
日本人は昔から、旬を大切に食卓を彩った。
プロフィール
高木泉(たかぎいずみ)
料理研究家、俳句協会会員。幼い頃より、祖母や母から実家の味をしつけられる。夫、高木森二氏は、俳句界の巨人高浜虚子の孫にあたる。姑である高木晴子氏(高浜虚子の五女)から、俳句の手ほどきを受けるとともに、料理、季節を尊ぶ暮らし方を教えられ、主婦の立場から日々の暮らしの中で、俳句をつくるようになる。現在、川崎市の自宅で料理教室を開くかたわら、婦人誌で活躍する。著書には『なにかことこと煮てみたき』『午後の紅茶にジャムをいれて』(ともに文化出版局刊)『美しい日本の、美味しいごはん』(アスキー・コミュニケーションズ刊)などがある。
高木泉さん画像

はじめに
私の一番好きな場所。そして、一日のうちで一番長くいる場所がキッチンです。キッチンの窓からは、様々な風景を眺めることができます。窓の外へ目を向ければ、四季折々、多彩に変化する生命の息吹を感じ取ることができ、単純になりがちな家事仕事の中で、小さな感動を体感することができるのです。
 私は縁あって、高浜虚子を祖父にもつ夫に嫁ぎ、知らず知らずのうちに、俳句の世界に引き入れられました。そうして気がついたのは、俳句と料理には相通じるものがあるということです。料理好きであった実家の祖母や母は、季節の素材を食卓に生かし、旬の味覚をいとおしみ、自然に寄りかかるように暮らしていました。季節を著す言葉である季語を必ず詠む俳句は、四季の素材をご馳走とする料理とよく似ています。家族の料理人である私は、旬の食材を通して、あるいは、季節の料理を通して、いつしか俳句を詠むようになりました。キッチンから生れる俳句は、眼福、口福そのものといえます。その楽しさをご紹介したいと思います。俳句は難しいものではありません。高浜虚子は、「写生するように」と提唱したといいます。目の前にある風景そのままを、感動の気持ちとともに、17文字であらわすこと。ただそれだけです。誰にでもできます。今日の献立を考えながら、作ってみてはいかがでしょう。
 舞い落ちる枯れ葉とともにやがて来る冬を感じ、我が家ならではの冬支度を始めなければならなくなります。師走から新年へやらなければならない事が多くて、毎日が慌しく過ぎていきます。手間の掛かる事は省いて過ごそうと思うのですが、日本人なのですね。やはり暦にしたがってあれこれと用意したくなります。この季節、俳句を作るのには事欠かないのでは思うくらい、様々な題材がころがっています。寒さが増し、日の入りも早くなり、足早に家族も帰ってくるようになると、家族団らんの時間が増えます。冬の食卓のご馳走というのは、料理そのものもさることながら、家族の愛情といった調味料が最も効果的ではないかなと思います。その時の温かな味わいが心に染みとおり、忘れられない冬の思い出となるのではないでしょうか。我が家自慢の冬の食卓を楽しみながら、家族で17文字を練ってみてはいかがですか。

※高木先生の新刊書『美しい日本の、美味しいごはん』が、アスキーコミュニケーションズより発売されています。ぜひ、併せてご覧下さい。詳しくは、下記のホームページをご覧ください。
株式会社アスコムホームページ 『美しい日本の、美味しいごはん

[夏の食卓]
霜枯
風花
冬籠
凩
※各季節のことばをクリックすると、句と料理のページへリンクします。
[春の食卓]
[夏の食卓]
[秋の食卓]
Copyright (c) 2001-2003 i-sys.ne.jp All rights reserved.