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text:tomoko takahashi
photo:makoto shimomura |
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| パリへ行くのはいつも冬だ。様々な事情があって、何故かそうなるのだが、そんなことよりもあのキーンとした寒さが好きで、この季節を選んでいるような気がする。 パリへ行く時、私はいつも、心の奥に何かを抱えていた。それは、人間関係に擦り切れた心の痛みだったり、家族との軋轢から生まれた悲しみであったりした。しかし、その時は、最悪の状態だった。なぜなら、パリで仕事をする相手は、かつて恋した男だったからである。青春時代に心に刺さった棘は、今だに刺さったままだった。 夜明け前、私は沈黙のパリに着いた。「仕事だから・・」と何度言い聞かせても、気持ちは前向きにならない。夜明けとともにやってくるこれからの時間をゆっくり受け入れようと、コーヒーを注文した。 そこで私は、今までで最高の朝食に巡りあった。 フロアの隅に年配の紳士が座っている。ほかに人影はなかった。コーヒーを飲むというのでもなく、私は指先でカップをもてあそんでいた。「仕事だから割り切らなくちゃ」ため息とともにつぶやくしかない。呪文のように繰り返していると「マダム!」と、紳士に声をかけられた。 「ご一緒に朝食をいかが?」 突然の誘いに戸惑っていると、「もしよろしければ」と、両手に抱えていた紙袋の中から、クロワッサンを取り出した.。 「ソニアが好きなパンなんだ」 そのとき口にしたクロワッサンの香ばしさに、私の呪文は一瞬にして消えた。 「朝食は二人で食べるものですよ」 彼が分けてくれたパンこそ、ソニア・リキエル御用達のパン屋のクロワッサンだった。 紳士から聞いた、その店をお教えしましょう。 |
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ポワラーヌ POILANE |
プージョラン POUJAURAN |
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ケイゼール KAYSER |
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8rue de Cherch Midi 75006 |
20 rue Jean Nicot 75007 |
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8 rue Monge 75006 |
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| この店で一番人気は、先の尖った形をしたバケット、「モンジュ」。パリパリとした触感が魅力の人気商品。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
| なぜかこの店には、英国人のお客が多い。ここで扱う田舎パンが好まれるからだろう。こしのあるパンである。 | 店の前に止まっている青い車が目印。この店はデニッシュ類のパンが豊富で、何度も通いたくなる店の一つである。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
| ソニア・リキエル 1960年代後半にデビューしたファッションデザイナ−。1968年にセ−ヌ川左岸に店をオ−プン。以来同世代のサン・ロ−ランとともにパリモ−ドを発信し続けている。 |
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